森のくまのブログ

気の身気のまま風まかせ

昔話を1つ(続き)

たどり着いた味は、誰もが8割似たものが作れるレシピとソース、チーズだったが、彼は納得していなかった。
彼は次に、従業員のレベルアップと、自分の補佐ができる人材を探した。彼は師の味に近いものを、守りたかったのである。
彼は、まず以前いたバイト先の上司(女性なんだが)に、自分の下で、自分を助けてくれるように頭を下げた。
彼の思いは、上司に通じた、ただし、1ヶ月の準備期間を貰いたいと言われる。
至極当然の事ではあるが、彼には長い1ヶ月である。
それでも彼は、笑顔で待っていることを伝える。次に彼は、1ヶ月の間に現状の従業員のレベルアップをはかる。
昼間の従業員さんは、アイドルタイム(2時から4時の事)に、研修をして、夜の従業員さんは閉店後に1時間、夜は11時の閉店後、片付けのすんだ後12時から研修、その片づけがすんだ後に事務処理。
毎日4時を越えてから、帰宅。
若い彼もさすがにこたえた、一月だったが、従業員のレベルは確実に上がり、彼女(元上司)が来たこと、彼の目指した形ができた。
がまたしても、時の流れは彼を迷走させた。
福岡進出である。
今の店の二倍の売上と自分で理想の厨房を作れると言われて、彼は悩む。彼は悩みながらも、
(師の味を大きな街で試したい。)
と言う気持ちに目覚める。
後の悲劇の原因の一つになるのだが、
半年後に、オープンを控えて、彼の会社社長が動く。
先行店舗の出店(福岡視察店)を考える。
彼を引き連れて、先行店舗の視察に行くことになったのだが、彼は現地で、何かを感じ社長に猛反対するのだが、オープンを決めてしまう。
下調べもままならないままのオープン、本来の店舗への補強不足。
緊急オープンは、彼にあらたな課題と負荷をかける。彼は厨房を出ることを余儀なくされるが、緊急オープンの反動は、新規従業員不足と売価設定のミス。
彼に付いた、ホールの先生は、職人で彼により高いサービスを求める。
この先生の教えは、後の彼の助けとなるのだか、彼は、負担を感じる。
時は流れ、本来の福岡店のオープンを迎えることになる。
彼の理想の厨房に、彼の姿はなかった。
料理の師は、昔に退職し、ホールの先生は、福岡店にとられる。
彼の師と先生はいなくなり、彼の頭には退職の言葉がよぎる。
クリスマスを過ぎ、彼は社長に退職の意志を伝える、泣き落としにも近い説得は、彼の義の心に入り込み、残ることを彼は、決めるのだが、
運命の輪は回り出す。

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